寂れた路地の片隅に ひっそりと子犬がいる 子犬は天をにらんでいる ぼろぼろの体に雨は容赦無い 少年が子犬に気づく 手を差し伸べる しかし 静かに威嚇する それでも 手を差し伸べる 怖がっているのに 救いたいのだ 眼と眼が逢う 少年の瞳は優しさ 子犬の瞳は孤独 しかし 子犬は少年の手をなめた 少年はうれしくなって抱きしめた 一緒に帰る 少年の両親は首輪をかけようとする 少年は抵抗する 翌朝子犬の姿は無い 少年は声をあげて泣く しかし 届くことは無い