陰陽五行の母体となった思想体系。
易は、変、不変、簡、象、数、理の『六義』から成ると言います。
小難しいので、要約すると、
前半三つが、世界の規則。
変―――「宇宙は一瞬たりとも止まることなく転変する」
不変――「その転変は、永久不変の理に拠る」
簡―――「天地の理法は、簡単明瞭である」
変は、世界を究極的に『相対』の立場から見ると言うことでしょう。
不変と簡は、「世界を形作る神の法則は絶対であり、簡潔である。」と言う、
西洋世界の自然科学的思考に近いものがありますね。
後半三つが、世界の認識の仕方。
これから、詳しく書いていきます。
だいたい
象―――「森羅万象の『カタチ』による認識」
数―――「数(数学)による認識」
理―――「抽象的概念による認識」
となりましょうか。
「易に太極あり、これ両儀を生ず。両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。」
すべては『太極』から生じます。
原初唯一絶対の存在、万物の根源であり、混沌(カオス)そのもの。
―――うちのサイトの名前もここから来てます(^^;)
原初の世界のありさまです。ユダヤ教系で言うところの、
「光あれ。」の前の状態と言えるでしょう。
全てが交じり合い、各々の境界線を持たない。
天と地すらまだ一つであると言う、想像を絶した世界です。
太極から、二気分かれて『両儀』。すなわち『陰』と『陽』。
陽 | |
---|---|
陰 |
柔と剛、明と暗、光と闇、天と地。
陰陽はあくまで相対であり、そのもの自体に万物を発生する力はなく。
陰陽が合するとき、はじめて生成が可能になる。
東洋版の二元論と言えば、簡単かもしれません。
しかし、西洋におけるそれが、世界の構成要素を分類した際の
単なる対立事項であるのに対し、
陰陽は、互いに補い合い、干渉しあって初めて世界を作るのです。
東洋的思想の最たるものと言えましょう。
陰陽分かれて『四象』すなわち『老陽』『少陰』『少陽』『老陰』。
老陽 | 少陰 | ||
---|---|---|---|
少陽 | 老陰 |
『老』と付いているのは、その力が盛んであると同時に、盛りを過ぎ、弱っていく事を表します。
『少』がついていると、その力がまだ未熟であり、これから成熟していくという意味です。
従って、『老陽』『少陰』『老陰』『少陽』『老陽』の順に巡ります。
さらに、分かれて『八卦』すなわち
『天(乾)』『沢(兌)』『火(離)』『雷(震)』『風(巽)』『水(坎)』『山(艮)』『地(坤)』。
八卦をもって、初めて『象』が生じます。
基本的性状はそれぞれ、
雷は以ってこれを動かし、
―――巡りの初めである春、東等、全ての動的なものを表します。
風は以ってこれを散らし、
―――万物をくまなく広めます。あらゆる所へ入り込むことから『入』の象でもあります。
雨は以ってこれを潤し、
―――恵みの水も洪水となるように、災いの意味も持ちます。
日は以ってこれを乾かし、
―――日はイコール『陽』でもあり、万物の理をも表します。
艮は以ってこれを止め、
―――万物をせき止め、大地や自然の不動を表します。
兌は以ってこれを説(よろこ)ばし、
―――端的に巫女の託宣のことを言い、広汎には、喜ばしい知らせを表します。
乾は以ってこれに君たり、
―――万物を支配する律法を表します。
坤は以ってこれを蔵(おさ)む。
―――これら全ての事象を受容します。
その他は下図参照です。
卦 | 自然 | 性状 | 人間 | 方位(先天) | 方位(後天) | 五気 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
乾(ケン) | 天 | 剛 | 父 | 南 | 西北 | 金気 | |
兌(ダ) | 沢 | 説 | 少女 | 東南 | 西 | 金気 | |
離(リ) | 火 | 麗 | 中女 | 東 | 南 | 火気 | |
震(シン) | 雷 | 動 | 長男 | 東北 | 東 | 木気 | |
巽(ソン) | 風 | 入 | 長女 | 西南 | 東南 | 木気 | |
坎(カン) | 水 | 陥 | 中男 | 西 | 北 | 水気 | |
艮(ゴン) | 山 | 止 | 少男 | 西北 | 東北 | 土気 | |
坤(コン) | 地 | 柔 | 母 | 北 | 西南 | 土気 |
僕が特筆すべきと考える、他の性質も書いときましょう。
天、火は、『陽』そのものであり、地、水は『陰』そのもの。
『雷』『風』はあいまって、六十四卦の一つ『雷風恒』となり、世界をつつがなく回転させ、また『風雷益』となって、世界を豊かに向上させる。