「許さない」
「つまり、こっちの世界の材料じゃ、使えるようなものは手に入らない、と言うことか」
「ご名答。何度も言うようだが、『こちら』と『あちら』では、物質と精神の相関関係が異なる。『こちら』の下手な武器より、あの竹刀の方が断然丈夫だったんじゃ。それに、精神力がものを言うここでは、手に馴染んだもの、思い入れの強いものは、何者にも勝る力を持つ」
「でもおじいちゃん?そうだとしたら、どうするの?タダでさえ戦力不足なのに。こいつ、あの『シナイ』が無いとタダの足手まといよ?」
「ひでぇなぁ」
「あら、私は事実を言ったまでよ」
「それにしても、もっといいかたがあるだろが」
「夫婦喧嘩は、結婚してからにしてほしいのぅ」
「おじいちゃん!!!」「爺さん!!!」
「まあまあ、そう見せつけんでもいいじゃ無いか。見事にハモりよってからに」
「もうっ!」
(なんだかなぁ。)←勇気
「それはさておき、手が無いわけでは無い」
「「本当(か)!!!!」」
(わざとやって無いか?)←作者
「久遠に存在する物質の中で、最高の強度と精神感応性を誇る『レアメタル』」
「それって『竜の鱗片』!?」
「その通り」
「でも、あれって私のこの杖を作るので全部使っちゃったじゃない」
「補給すればよい」
「補給て言っても…、あれは年に一度竜帝様から下賜されるものでしょ。次は半年後よ」
「ふっ、問題無い…」(ああ、やってしもた。)←作者
「何が問題無いのよ!」
「勇気殿は、極秘とは言え竜帝様の賓客じゃ。多少の無理は通るじゃろ」
「何とかなるのか」
「ふんっ、おじいちゃんが言うんなら間違い無いわ!」
「じゃ、二人とも早速取りに行ってくれんか?」
「え〜、私も行くの〜?」
「まあまあ、どうせ暇になるんじゃし」
「う〜ん、そうね、『光建』なら結構近いし」
「いや、今はあそこにも無いじゃろ」
「ええっ、どーすんのよ!?」
「直接、産出地まで行ってもらいたいんじゃ」
「産出地… まさか!?」
「ん、何青い顔してんだ?」
「そう、あの『頑固ジジイ』のとこじゃよ」
(爺さん、他人のことジジイなんて言えんのか?)←勇気
「私パスだかんね!」
「だめじゃ」
「だめもへったくれも無いの!」
「麗子しか、行けないのじゃよ」
「どうして?」
「麗子が行かないと、わしが行くことになるからじゃ」
「あっ、そっか。天領通らなきゃいけないもんね…」
「寄り道している暇はないでのぅ。それと、加工も『専門家』のところでやって来ることにしてある。できるだけいいものにした方が後々楽じゃからの」
「『金の亡者』のところにも行くの…。ああ、目眩が…」
「あきらめるんじゃな」
「ううっ……」
ひそひそ「再びチャンス到来じゃ。がんばれ青年!」
(なんだかなぁ)←勇気
「麗子もがんばるんじゃぞ!」
「…はぁ」←聞こえて無い
pipipipi……
「はい、こちら『研究所』」
「主任は居るかの?」
「ただいま…」
ツーツーツー。
「通信、繋げます」
ウィーン。
「主任か?」
「はっ」
「結果は?」
「おっしゃっていた通りでございます」
「『システムU』による最終算定は?」
「終了しております。詳細なデータは、後程転送いたします」
「そうか…」
「…凰斉様」
「言うな。分かっておる。苦労をかけるが、まだしばし、付き合ってもらえんか?」
「何をおっしゃいます。たとえどんなことが起ころうと、地獄の果てまでお仕えいたす所存にございます」
「済まんな」
「大地の声を聞こうともせず」
「なんか、なんにも無いなぁ」
「神聖な土地だからよ!『光建』以外に街は無いわ」
「そこの車とまれ!」
「ライセンスはもっているのか?」
「これで、いいかしら?」
「はっ、申し訳ございませんでした。お通り下さい」
「何回目だ?」
「229回」
「あと何回?」
「うるさいわね!964回よ!!」
「先は長いな…」
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「どうぞお通り下さい。ようこそ玄武領へ!」
「やっとついたな…」
「…」←寝てる
「…ずるい」
「森を殺し、大地を傷つけ、水を汚し…」
「あいや、その車、待たれよ!」
「まだ、続くのか…」
「手形はお持ちか?――――――
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「ここからは玄武の都『武魂』、許可無く入ることあたわず」
「…」
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「ここは、玄武公公邸ぞ!いかな用にてまいられたか!」
「…」
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「あまつさえ、我らが聖地を侮辱し…」
「おお、お客人。よく参られた。それがしが玄武公『玄将』アインス=ウォルフでござる」
(ホント、よく来たよなあ。)←勇気
「お初にお目にかかります。朱雀公凰斉が孫娘麗子と申します。以後、お見知り置きを」
「は、始めまして。竜崎勇気です」
「いやあ、お噂はかねがねきいておりましたが。まさか、あの『頑固ジジイ』の孫娘が、かような美しき姫君とは…」
(う〜ん。どっかで同じ単語をきいたような?)←勇気
「げに、噂に勝るとも劣らない美しさですな」
「お褒め頂き光栄の至りですわ」
「こちらは…」
「な、なんでしょうか?」
「ああ、ご紹介が遅れましたわね。こちらの男は…」
「いえ、聞いております。それがしのところの情報部も、なかなかどうして優秀でござる」
(まさか!ばれてるの?)
「極秘の婚約者殿でござろう。見たところなかなかの使い手のようで、これはお子が楽しみじゃ」
「「ええっ???」」
(お前ら、わざとだろ。)←作者
(じ、爺さん、なんちゅー噂流してんだ!?)←勇気
「心配無用。それがしは一切口外しておりませぬ」
(なんだかなぁ。)←勇気
「こほん、早速ですが、用件に入らせて頂いてよろしいでしょうか?」
「ああ、竜帝閣下方から、既に書状は受け取っておりまする」
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「ええっ!協力できないですって!?」
「一体どうして?」
「いや、お客人に話すのはお恥ずかしい限りなのですが……」
「絶対に許さない。絶対に……」